患者さんの目から両手でいっぺんに両方のハードをはずす
ハードコンタクトを目から外すのはなかなかむずかしい。使っている本人が自分の目から外すのも慣れないとなかなかうまくいかない。眼科のドクターやコンタクトのフィッターの中には上手な人がいた。患者さんの両目のハードレンズを一瞬のうちに両手でいっぺに外すのだ。左右の片手で左右のレンズをいっぺんに外す。これはなかなかできない職人技であった。
エッジやベベルの形状を変える
ハードコンタクトはレンズの一番周辺部の先端であるエッジや角膜のお表面を流れる涙に接する部分であるベベルに微妙な調整をすることで角膜に接触するレンズのタッチが良くなったり涙の交換がスムーズに行えるようになったりすることがあります。この微妙な調整ができるのは熟練した職人技でした。ただ今はこのようなハードコンタクトの職人はいなくなってしまったのでエッジやベベルの形状を変えることはできなくなってしまいました。今はメーカーで製作したものをそのまま使うしかないのです。
磨いて度数を変える
昔のハードコンタクトはPMMAという素材でした。簡単に言えばアクリルだったのね。酸素は全く透過しない。そのかわり強くて頑丈でした。そのころ、やっていたのが磨くことによって度数を変えることでした。度数にして1段階くらいはよく磨いて調整していました。ただし球面であるレンズをきれいな球面形状に磨かないと歪みがでたり見えにくくなってしまいます。これができる技術者はそうそういませんでした。まさに職人技でした。今もハードコンタクトはありますが磨きはできません。なぜなら今のハードコンタクトはシリコンやらフッソなど化合して酸素透過性を高めているので研磨などで力がかかると破損したり歪んだりしてしまうからです。なによりレンズを研磨して度数を変えたりできる優れた職人さんがいなくなってしまったからです。
Rマークを入れる
昔のハードコンタクトは右目にはRマークの印字をしているものが多かった。これでこのレンズは右目と認識したわけだ。もう片目には印字がない。ないほうが左目である。印字はハードコンタクトにプレス機でマークを押し付けそのキズ跡がRマークになる。このハードレンズの印字も今はされることはなくなった。なぜかというと酸素透過性や高酸素透過性のハードが主流になって素材にシリコンやフッ素が使われるようになった。Rマークをつけるためにプレスしようものなら今の素材のレンズは簡単にレンズが破損してしまう。だから今は印字をするということがなくなった。どうしても右目と左目のレンズを間違いたくないという人にはニチコンのうるるUVがいいかもしれない。うるるUVはわざと右目と左目のレンズのカラーを違えている。この色で右左の判別ができる。